デジタル技術:ラグジュアリーの新たな専門分野

ラグジュアリー業界全体、そして特に戦略的な意思決定においてデータが不可欠であるケリングにとって、データサイエンティスト、データアナリスト、機械学習エンジニアなど、ほんの数年前まで存在しなかった職種がより重要となってきています。こうしたデータの専門家たちの役割は何なのでしょうか。グループや各ブランド内の変革をどのようにサポートしていて、そしてどのように採用されるのでしょうか。ケリングのデータ・インテリジェンス・ディレクター、イメン・エル・カロウィがその答えを示します。

Imen El Karoui
Data Intelligence Director

変化する市場に応える新たなスキル

ビジネスインテリジェンス、データ分析、人工知能という3つの専門分野を集結させたケリングのデータ・インテリジェンス部門は、1つの大きな課題に取り組んでいます。「グループの意思決定において、データをもっと活用することを目指しています」とクライアント&デジタル部門のデータ・インテリジェンス・ディレクターであるイメン・エル・カロウィは語ります。「これにより、意思決定の方法は一変するでしょう」。このような専門知識は、ケリング・グループのITチームとの密接な協力関係によって支えられています。グループのITチームも同様に飛躍的な進化を遂げており、今までとは違うスキルを持つ人材を採用しています。情報源がますます多様化する環境では、データの管理と質のコントロールが戦略的に重要となります。バリューチェーンに関するプロジェクト、あるいはクライアント・エンゲージメントに関するプロジェクトでも、「データと専門知識の組み合わせは、ラグジュアリー業界の課題に対して新たな視点を提供してくれます」と、エル・カロウィは言います。例えば、データを分析、比較することで、ケリングは販売予測をより正確に調整することができます。こうした情報を基に、ケリングはオペレーションと資源の使用量を最適化し、正確な数量を生産し、お客様のニーズにより的確に応え、環境負荷を抑えることができるのです。

ビジネスとテクノロジーの接点

これらの新しいプロジェクトをリードするために、ケリングは数年前から新しい人材を募集しています。その役割は、データをエンドユーザーが管理しやすいフォーマットに変換すること(ビジネスインテリジェンス)、大規模なデータセットを比較して包括的な概要をつかむこと(分析)、あるいは一人の人間では不可能な判断を半自動化し、情報を相互参照するために機械学習用のモデルを開発すること(AI)が含まれます。彼らに共通しているのは、データとビジネスの両方に精通しているということです。「こうした人材を求めているため、探すのは容易ではありません」とエル・カロウィは言います。実際、彼女のチームが携わっているあらゆるプロジェクトの根底には、データ管理を活用することで解決しなければならないビジネス上の課題があり、「テクノロジーに関する最先端の専門知識だけでなく、ビジネスに対する非常に優れた理解も必要なのです」と彼女は指摘します。

優秀な人材の獲得と定着

ケリングのデータ・インテリジェンス部門では現在50人近くが働いていますが、この2つのスキルを有する候補者を見つけることが、同部門の採用プログラムにおける指針となっています。ケリングでは、強いチームワーク精神を醸成し、また若手新入社員のトレーニングに投資するため、お互いを補い合うことができる素養を持った人材を採用しています。これらはすべて、優秀な人材を惹きつけ、また引き留め続けるために不可欠な要素です。データの役割に関心を持つ優れた人材は、ラグジュアリー業界全般、特にケリングにおいてますます増えています。