ヴァンドーム広場に佇むキーリン:世界に存在を示すためのブティック

キーリンはパリの格式高いヴァンドーム広場に、中国のジュエリーブランドとしては初めてブティックをオープンしました。ただしこのブティックは贅沢な場所でジュエリーを売るためだけの存在ではありません。この小さな中国の宝石箱には大きな役割が課せられています。つまり、中国の伝統と現代性を融合させたキーリンならではの世界を世に知らしめることが求められているのです。

2019年にキーリンは中国のジュエリーブランドとしては初めてヴァンドーム広場にブティックをオープン © Eric Sander

11年前にも、ヴァンドーム広場の同じ場所を眺めていました。」キーリンの創設者でクリエイティブ・ディレクターを務めるデニス・チャンは2019年7月にヴァンドーム広場26番地にオープンしたキーリンのブティックについて触れながら、こう語りました。「私たちは2004年にカンヌ映画祭でジュエリーを披露した後、パリのオテル・ド・クリヨンに初の販売拠点を設けました。それから、トレンディな存在だった高級セレクトショップのコレットにも。でも私は、国際的な高級ジュエリーの聖地であるヴァンドーム広場に店を持ちたいと、ずっと夢見てきたのです。ですから、この広場にブティックをオープンしたことは、私たちのブランドの歴史に残る、非常に重要な出来事なのです。」

キーリンは世界中に約30店のブティックと幾つかの販売拠点を設けており、そのうちの約17店は中国本土にありますが、格式の高いヴァンドーム広場は高級ジュエリーを販売する場を提供すると同時に、コミュニケーションを促す手段にもなっています。「キーリンはブランド認知を高め、より人目を引く存在になりたいと考えています。またキーリンの高い評価を、アジアと欧米諸国のどちらのお客様にも力強く訴えたいのです。そのためには、ヴァンドーム広場にブティックを構えることが必須。ここは世界に存在を示すためのショーケースなのです」とキーリンとCEOを務めるクリストフ・アルトーは語っています。

 

Qeelin's interior on place vendôme decoration
東洋と西洋が入り混じった世界が広がるブティック © Eric Sander

高級ジュエリーの世界的中心地に名を刻む

ヴァンドーム広場にあるキーリンのブティックは2階に分かれており、店内は親密さが感じられます。1階は東洋的なデザインと西洋的なデザインが入り混じった世界が広がり、パリのアパルトマンによく見られるヘリンボーンの寄せ木張りの床に、中国の朱塗りがアクセントを添えています。壁のシェブロン柄に沿って配置された引き出しには、クラシカルな「Wulu」、一風変わったパンダモチーフの「Bo Bo」、そして繊細な「Yu Yi」の3つの主要なコレクションが陳列され、お客様の興味を引きつけます。シンプルな金属製の階段を上った先にある2階は居心地の良いリビングルームのような雰囲気が漂い、希少な中国茶を飲みながらアジアのアートに関する本を手に取ったり、あるいはキーリンのデザインを試着したりとゆっくりと時間を過ごすことができます。ここはジュエリーの売り場というよりも、お客様にキーリンの多面的な世界に浸っていただくためのスペースとなっています。高級ジュエリーの世界的中心地にキーリンの名を刻むブティックです。

 

Qeelin's boutique walls on place vendome in Paris : jewels
ヴァンドーム広場のキーリンのブティックは、ブランドの遊び心ある世界観をコレクションと共に展開 © Eric Sander

 

「この旗艦店はキーリンの国際的な表現を高める存在です。このロケーションはお客様に、ここで買うジュエリーは投資として価値があるのだ、という確信を与えてくれます。また、中国のお客様には、キーリンが世界的に展開していることを示すことにもなるのです。」ヴァンドーム広場にブティックを設けた初の中国のブランドを統括するアルトーは、こう語っています。

オープニングセレモニーの際、お客様とキーリンとの間には強い絆が見られました。アルトーは言います。「アジアでもアジア以外でも、特にソーシャルメディアのキャンペーンでは高い好感が得られました。(コロナ危機で海外旅行が停滞しているため)ビジネスとしてリターンが得られるのはまだ先になるかもしれませんが、これまでに築いた絆の深さは、ブティックの存在感を確保する上で重要であると私たちは考えています。」

パリのブティックを訪れた中国人のお客様は、ひょうたんをモチーフにしたキーリンのWuhuのデザインを見て、伝統とのつながりを瞬時に感じ取ります。一方、欧米諸国のお客様は、昔から幸運と幸せを表すとされてきた中国のひょうたんを模した“8”の字型のデザインが持つ意味を理解するのに、もう少し時間がかかるでしょう。「欧米人のお客様は、キーリンの背後にある象徴的な意味合いや伝統について学ぶ機会を前向きにとらえています。こうしたものが受け入れられるのには少々時間が必要ですが、そのスピードは速くなっています。それに、異文化を好む大都市のお客様の反応は上々です。そう考えると、ヴァンドーム広場にあるブティックはアジア人以外の人々にキーリンの存在を示し、このブランドや文化に慣れ親しんでもらうための実験的な場でもあるのです」とアルトーは言います。

独特の雰囲気を醸し出すヴァンドーム広場は、中国と西洋諸国を結ぶ長い歴史の交差路でもあります。今日まで長く続いてきた接点であり、海外旅行の機会が再び増えれば、その交流もまた活発になるでしょう。「ブティックは営業しています。私たちは戻ってきた大切なお客様をお出迎えすること、そしてヴァンドーム広場で世界各国の人々をつなぐことを楽しみにしています」とアルトーはコメントしています。